■田辺 功の医療よもやま話 「右半身がしびれる」

■右半身がしびれる [09/06/11]
今回は、千葉県の60代男性からのお便りをご紹介します。
相談
「右半身がしびれたので診察を受けたが、最初の病院は『軽い脳梗塞』という診断ですぐ入院しました。ところが入院中に『頸椎(けいつい)と腰椎(ようつい)の椎間板ヘルニア』が原因と訂正されました。退院後、近くの整形外科でもMRI(磁気共鳴断層撮影)画像にヘルニアが少しあるとのことでした。しかし、念のためMRI画像を持参して有名大学病院の神経内科へ行くと『軽い脳梗塞で右半身のしびれがある。薬しか手がない』といわれました。原因がさっぱり分からず、悶々としています」
回答
病院によって診断が違う、ということはよくあることです。判断の元になるのは症状ですが、半身のしびれにつながる病気は脳梗塞や首などの椎間板ヘルニアだけでなく、神経圧迫や糖尿病までいろいろあります。医師は問診や検査結果から最終的に一つの診断名に絞ろうとします。ただし、同じ病気でも患者の体質、他の病気の有無、食事や飲んでいる薬などで症状の現れ方が変わります。正確な診断のためには広い知識と観察力、豊富な経験が重要です。
本当は個々の医師の力量によるのですが、それが分からないため患者さんは病院の格や知名度を重視しがちです。質問の男性にも、開業医より大病院の医師、それより大学病院の医師が上との、あまり根拠のない思い込みがあるのではないでしょうか。
最初の病院は脳梗塞を疑ったのに、頸椎と腰椎のヘルニアの合併症だと診断を変えました。診療科を超えた思い切った変更です。当然ながら入院中の検査やMRI画像の結果です。大学病院が画像をよく理解できなかった可能性もあります。脳梗塞の場合は、ろれつが回らないなど他の症状が出やすいものです。最初の病院の診断が正しい可能性が高い、と思います。
さて、問題は治療です。整形外科では軽いうちは安静を指示するぐらいです。寝る時の姿勢を変えて痛くないようにしたり、マッサージや運動など生活の工夫をしたりするとよくなる場合が多いです。しびれがひどくなると痛みになり、痛みが強くなると鎮痛剤、我慢できなくなったら手術、になります。
田辺 功(たなべ・いさお) プロフィール

医療ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。1944年生まれ。68年東京大学工学部航空工学科卒業。同年朝日新聞社入社。大阪本社科学部次長、東京本社科学部次長、同部編集委員などを歴任。主な著書に『漢方薬は効くか』『医療の周辺その周辺』『ふしぎの国の医療』『ドキュメント医療危機』など。
相談
「右半身がしびれたので診察を受けたが、最初の病院は『軽い脳梗塞』という診断ですぐ入院しました。ところが入院中に『頸椎(けいつい)と腰椎(ようつい)の椎間板ヘルニア』が原因と訂正されました。退院後、近くの整形外科でもMRI(磁気共鳴断層撮影)画像にヘルニアが少しあるとのことでした。しかし、念のためMRI画像を持参して有名大学病院の神経内科へ行くと『軽い脳梗塞で右半身のしびれがある。薬しか手がない』といわれました。原因がさっぱり分からず、悶々としています」
回答
病院によって診断が違う、ということはよくあることです。判断の元になるのは症状ですが、半身のしびれにつながる病気は脳梗塞や首などの椎間板ヘルニアだけでなく、神経圧迫や糖尿病までいろいろあります。医師は問診や検査結果から最終的に一つの診断名に絞ろうとします。ただし、同じ病気でも患者の体質、他の病気の有無、食事や飲んでいる薬などで症状の現れ方が変わります。正確な診断のためには広い知識と観察力、豊富な経験が重要です。
本当は個々の医師の力量によるのですが、それが分からないため患者さんは病院の格や知名度を重視しがちです。質問の男性にも、開業医より大病院の医師、それより大学病院の医師が上との、あまり根拠のない思い込みがあるのではないでしょうか。
最初の病院は脳梗塞を疑ったのに、頸椎と腰椎のヘルニアの合併症だと診断を変えました。診療科を超えた思い切った変更です。当然ながら入院中の検査やMRI画像の結果です。大学病院が画像をよく理解できなかった可能性もあります。脳梗塞の場合は、ろれつが回らないなど他の症状が出やすいものです。最初の病院の診断が正しい可能性が高い、と思います。
さて、問題は治療です。整形外科では軽いうちは安静を指示するぐらいです。寝る時の姿勢を変えて痛くないようにしたり、マッサージや運動など生活の工夫をしたりするとよくなる場合が多いです。しびれがひどくなると痛みになり、痛みが強くなると鎮痛剤、我慢できなくなったら手術、になります。
田辺 功(たなべ・いさお) プロフィール

医療ジャーナリスト。元朝日新聞編集委員。1944年生まれ。68年東京大学工学部航空工学科卒業。同年朝日新聞社入社。大阪本社科学部次長、東京本社科学部次長、同部編集委員などを歴任。主な著書に『漢方薬は効くか』『医療の周辺その周辺』『ふしぎの国の医療』『ドキュメント医療危機』など。
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