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2008年10月 6日 (月)

■シコふんじゃった?

今日の一日一賢

■シコふんじゃった?


 
2008年09月23日(火)更新

名古屋報道センター 長谷文


《プロフィル》

 ながたに・あや 03年朝日新聞社入社。富山、奈良総局を経て、08年4月から名古屋本社・報道センター・スポーツグループに所属。11月2日に熱田神宮~伊勢神宮を走る全日本大学駅伝対校選手権大会を担当。全国各地の選考会や選手、監督のちょっとした日常を駅伝ホームページ(こちらをクリック!)に紹介しています。ご覧ください。

 はじめまして。この4月からスポーツを担当しています、ながたにあやと申します。
 なぜ、ふるネームで名前を書いたのかと言いますと、私には、文(あや)という名にちなんだ別名があります。
   取材で知り合った方々から頂戴しました。
 別名を「文鼓(あや・つづみ)」と言います。
 こう書くと「何事?」と思うかも知れませんが、正式には「しこ名」です。
 富山県高岡市伏木に子どもから大人まで相撲を楽しんでいる人たちがいます。
 毎年9月に開かれる「伏木場所大相撲」が彼らの舞台。初任地で出会ったこの人たちから頂きました。
 「伏木場所大相撲」の始まりは、90年の地元の男性が県の相撲大会で優勝したことで祝った集いでした。酒が回って、チョークで床に円を描き、みんなで相撲を取っていると、その楽しさにやみつきになったとか。この人たちが1カ月後に小学校の土俵を借りて、大会を開き、毎年続くことになりました。

遊びに真剣に取り組むのが伏木の人たち。



 年に1度の伏木場所のために、11月に番付編成会議が開かれます。
 3月に新番付が発表されると、西広志さんの出番。
 独学で学んだ、本物顔負けの相撲字で書かれた番付表が作られ、地元に配布され、飲食店などに張られます。



 中学以上の男子による幕内のほか、園児は序の口、小学男子は十両、新相撲は小学女子。総勢約80人の力士が土俵に上がり、呼び出しも行司も検査役もみな、本を読んで相撲の歴史を調べて、所作の意味を学んだ地元の人たちが担当します。
 さらに、出場する力士たちはそれぞれをしこ名で呼び合います。
 遊び心満載で、みんなが集って決めたり、自分で決めたりします。
 例えば、呼び出しの中村信男さんのしこ名は古鐵(こてつ)。
 子どもの頃あこがれた大相撲呼び出しの「小鉄」にちなみ、鉄工所勤務のため、「もう再生するしかない古い鉄という意味をこめた」そうです。
 ところが、しぶく、はっきりとした節回しの声を響かせる中村さんは、「老練でぴったりの名」と仲間からほめられていました。
 私のしこ名は、約10人の力士の方々が決めて下さいました。
 議論の末、一時は「文錦(あや・にしき)」に落ち着きかけたのです。
 「名前の『文』とは記者に合う漢字。記者として古里に錦を飾ってほしい」という発案でした。
 「たいそうなしこ名です」と驚くと、力士をとりまとめる国谷伸五さんが再提案して下さいました。
 「錦を飾るというのは少し古い表現かな。じゃ、長谷さんの記事が鼓の音のように、色々な人の心に響きますようにという願いをこめて、『文鼓』にしよう」
 以来、毎年番付表に、委員の欄に「文鼓」を加えてくださっています。
 今年もその番付表が手元に届きました。
 いつも記事を書く時、どこかくすっと笑えるエピソードを入れたいと思ってネタを探しています。社会のおかしいこと、憎むべきことを取り上げようと、かけずり回っている時でも同じ思いです。
 これは伏木地区の力士たちに教わりました。
 真剣にこだわってこだわり抜いても、忘れないのは遊び心。
 この9月も伏木場所を終えた力士の皆さんから連絡が入りました。
 「文鼓さん、元気ですか」
 気持ちの上では「文鼓」として、伏木の皆さんの願いに恥じない記事を書きたいと思います。





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